巻き起こる拍手で馬の祭りが幕を下ろす
列車を降りればすぐ、杉の深い香りに包まれ、路面を踏む感触が異国みたいに新鮮だった。家族4人、手をつなぎ小径を進むと、聞こえてきた声。
誘導スタッフがニコリと差し出す案内図には、秋田県の馬の祭りが記載されてる。そこへ向かう途上で感じる鼓動も、すでに儀式かと思えた。到着すれば、そっと舞い上がる砂埃。
駆ける群れが大地を蹴るたびに、空気がふわりと波打つイメージ。妹が持っていた風鈴みたいな音色を思わせる鈴、そっと揺れ耳に残り、緊張と安堵が交錯する。
ふいに秋田県の馬の祭りを手伝うスタッフが新しい走路を整え、木槌で杭を打ち直す音がリズミカルに鳴り響く。
細部まで手入れされた装具、しなやかな革が擦れ合い、まるで生き物の呼吸を感じれるよ。家族全員、繊細な息遣いに心を奪われた。
大地を切り裂くような走りに、私達はやや後ずさりしながらも、大迫力に釘付け状態へ。巻き起こる拍手で幕を下ろすと、楽しかった余韻に少しだけ浸っとく。
砂を踏むたびに小さな振動が蘇り、秋田県の馬の祭りで共有した感覚や思い出を胸に、ゆっくりと駅へ向かい歩く。体験はどんな言葉よりも強く、やっぱ肌で感じた記憶は強烈。